私は植物をタネから育てるのが好きで、都会に住んでいる頃からチマチマと楽しんでいた。それはもう、10年以上も前から、賃貸アパートの片隅でチマチマと。
だから、植物をやるなら絶対にタネからでないといけない!と思っていた。
それが今年の春になって何故か、ふと、「タネから育てることにこだわらなくてもいいのでは…?」と思い始めたのである。
そもそも、育てる楽しさと食えるかどうかというのはそれぞれ別の目的だ。どこに重きを置きたいかは、ものによっても変わる。
たとえばバジル。すぐ料理に使いたいなら、苗を買ってくるのがそりゃ良い。その日にだって使えるもの。けど、種からも育ててみたい。やっと芽が出て、大きくなってきて…という日々の成長には何とも言えない喜びがあるし、バジルなら2ヵ月程度で収穫できる。
逆にアスパラは種から始めるとすると、最初の1~2年は収穫できないらしいので苗で買うことにした。まだヒョロヒョロのこれが、いつかBBQの網の上に乗る日が待ち遠しい。
自分の楽しみを取るか、育てる時間と手間を省くか。結局私はどちらも都合よく取る事にした。どっちもやればいっか、と。

今年は他にも、新しく種まきしたものが沢山ある。私だけの小さなハーブ園にボリジやレモンバーム、去年失敗したチャイブ。食べた事はおろか見た事もないアーティチョーク。
畑には茶豆。これは夏に収穫できたらビールと共に…という最高の夢を見させてくれる。
庭が広い家に引っ越して、本当に良かったと思う。
春は、これからの1年を楽しみにさせてくれるありがたい季節だ。少し前まで、「春は虫が出てくるからイヤ」と言っていた自分をちょっと軽蔑する。 夏休みにやらされがちなアサガオの観察日記。当時はちゃんとやった試しがなかったが、今なら事細かに毎日かかさず書ける自信がある。それほど、毎日の植物の成長が楽しくて仕方ない。
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30歳からの田舎暮らし
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田舎産物おつまみ音頭
伊豆の三賢人
このお話は、『30歳からの田舎暮らし~伊豆に移住しました~: 四季報ちゅんぶん2023夏号』に収録されています。
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