花壇や庭に知らない花が勝手に咲いていることがある!?スミレやシャガなど

花壇や庭に知らない花が勝手に咲いていることがある!?スミレやシャガなど 田舎暮らし

この暮らしを始めて、少しずつ花に詳しくなってきたと思う。

とはいえ突如として花壇や庭に知らない花が咲き、「アンタ誰?!」と驚くような事も日常茶飯事だ。

今年は小さなすみれが咲いた。「そっちのスミレはよくあるけど、こっちのスミレはあんまり無いのよ!」と、隣のおばさんが言う。「そうなんですかぁ、それじゃあ、こっちのレアなスミレは大事にしなきゃですね」とヘラヘラ答えた私は、翌日にはキレイさっぱり忘れて草むしりついでにその珍しいスミレまで引っこ抜いてしまった。嗚呼、レアスミレよ…。今度は気を付けるから、きっとまたうちのどこかに来て下され。

スミレの種は3メートル以上も飛ぶことがあるようだ。どうりで、少しずつ離れた距離にいくつもスミレが咲いている。スミレは多年草だが、2~3年で枯れてしまうらしい。自分たちの種族が絶えないよう、種を振りまいては消滅していく。諸行無常の響きあり。しかし、毎年ちがった場所にスミレが姿を現すのも面白い。

4月に咲く花で、スミレよりもっと好きな花がある。シャガだ。やつらは、なんとエキゾチックな色合いなんだろう。中国が原産らしいが、なるほどたしかにそういう雰囲気がある。

どう見ても毒がありそうなこの見た目。調べてみたらシャガの根茎(こんけい)は、薬にも毒にもなるらしい。カッコイイ。花言葉が「反抗」というのも私にピッタリで気に入っている。

やつらは湿った日陰や森の中に人知れず咲くことが多く、そういうところも魅力的だ。悪い女に惹かれてしまうがごとく、私はいつもシャガに出会うとしばらく見惚れてしまう。

レアスミレの情報をくれたおばさんから、ペチコート水仙の株をもらった。名前がどうしても思い出せない様子で「ぺなんとか水仙…ぺ…ぺなんとか水仙なのよねぇ…」と言うので私も気になってしまい、調べたらこれだったのだ。

やまぶき色に近い黄色で、細長いラッパのような形をしている。開花時期は3月頃までという事で、うちの花壇にやってきてからすぐに見頃が終わってしまった。今度の年明けからまた綺麗に咲いてくれるかな。

最後に、薔薇の話をしよう。

ここに引越してきた当初、日陰でボロボロに枯れかけた薔薇が2本あった。しばらく誰も住んでいなかったのだから手入れもくそもされていないわけだが、それでもなんとか生きていた。

スコップで掘り上げて日の当たる場所へ移植してみたら、みるみるうちに回復。それどころか、あっという間にドでかくなった。ひとつは鮮やかなピンク色、もうひとつ株からは深紅の薔薇が見事に咲いた。

花が終わってローズヒップがついたので、私はそれを採取しようと手を伸ばした。思い付きなので、もちろん素手だ。

軍手もしないでハサミも使わないでローズヒップを取ろうとする無精さが祟り、トゲが刺さったのは言うまでもない。

このトゲが、なんと1ヶ月以上も人差し指に刺さっていた。放っておけば痛くもないし、べつに問題ない。

ある日これまた思い付きで、こいつを引っこ抜いてやろうと毛抜きを使って頑張ってみた。やっと抜けてポロっとそいつが落ちたとき、その亡骸を必死に探している自分がいた。長い間、風呂にも布団にも共に入った仲だ。 抜ける瞬間のズッキンという痛みと、なかなか消えない黒ずみを残してヤツは旅立った。ちょっと寂しいけど、ばいばい。

このお話は、『30歳からの田舎暮らし~伊豆に移住しました~: 四季報ちゅんぶん2023夏号』に収録されています。

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