週末のゴルフのため、金曜の夜から落ち着かない。土曜の早朝4時に眠い目をこすり、高速道路の赤いテールランプの列にうんざりしながら、ようやくたどり着いたゴルフ場。プレイ前からすでに疲労困憊…かつての僕にとって、それは当たり前の光景でした。
「ゴルフは好きだ。でも、この生活はいつまで続くんだろう?」
そんな漠然とした疑問が、僕の人生を大きく変えるきっかけとなりました。どうも、伊豆で田舎暮らしをしながら、フリーのデザイナーとして生きるヤリョです。
東京や横浜で暮らしていた頃は、時間とお金の制約から、あれほど好きだったゴルフも「特別なイベント」でした。しかし今、僕の家から車で30分圏内には、個性豊かな10以上のゴルフコースが広がっています。朝7時に目を覚まし、鳥のさえずりを聞きながらコーヒーを一杯。それからゆっくりと準備をしても、余裕でティータイムに間に合う。そんな毎日が、僕の「日常」になりました。
この記事は、かつての僕のように都会のゴルフライフに限界を感じているあなたへ、僕が手に入れた「田舎暮らし×ゴルフ三昧」という、最高に贅沢なライフスタイルのリアルを、余すところなくお伝えするものです。単なる憧れで終わらせない、具体的な方法や現実的な注意点まで、僕自身の体験を交えながら、詳しく解説していきます。
なぜ、ゴルフ好きは田舎を目指すべきなのか?3つの「解放」があなたを待っている
都会の喧騒から離れ、田舎でクラブを握る生活。それは単に「ゴルフが近くなる」という物理的な変化だけではありません。ゴルファーを長年縛り付けてきた「時間」「お金」「精神」という3つの足枷から、あなたを解放してくれる大きな価値があるのです。
1. 「移動時間」からの解放:失われた週末を取り戻す
都会でのゴルフにおいて、プレイ時間と同じくらい、いや、それ以上に僕たちを消耗させるのが「移動」です。
朝4時起き、往復5時間の運転、そして終わりの見えない渋滞…。プレイ後の心地よい疲労感は、帰りの高速道路でイライラと絶望感に変わります。あれは一体、誰のための時間だったのでしょうか。
伊豆に移住した今、僕の朝は劇的に変わりました。7時に起きても、余裕で8時半のスタートに間に合う。なぜなら、家から30分も走れば、そこはもうクラブハウスだからです。
田舎暮らしがもたらす最大の恩恵は、「プレイ前のストレスがゼロになる」こと。移動の疲れがないだけで、ゴルフの質そのものが向上します。1番ホールのティーショットに、これほど集中できたことはありませんでした。
言葉だけでは伝わりにくいでしょう。かつての僕(横浜在住)と現在の僕(伊豆在住)の、あるゴルフの一日を比較してみましょう。
| 項目 | 都会でのゴルフ(横浜在住時) | 田舎でのゴルフ(伊豆在住の今) |
|---|---|---|
| 起床時間 | AM 4:30 | AM 7:00 |
| 出発時間 | AM 5:00 | AM 7:45 |
| ゴルフ場到着 | AM 7:30(渋滞考慮) | AM 8:15 |
| 移動時間(片道) | 約2.5時間 | 約30分 |
| プレイ前の過ごし方 | 仮眠、運転の疲れを癒す | コーヒーを飲みながらパター練習 |
| 帰宅時間 | PM 7:00(渋滞) | PM 4:00 |
| 1日で移動に使った時間 | 約5時間 | 約1時間 |
この差は、もはや革命的です。往復で4時間もの時間を、僕は取り戻しました。その時間で、庭の手入れをしたり、デザインの仕事を少し進めたり、あるいはもうハーフ回ることだってできるのです。
2. 「高額なプレー代」からの解放:投資対象はスコアアップへ
「ゴルフはお金がかかるスポーツだ」これは紛れもない事実です。 しかし、その負担の大部分は、実は「場所」によって決まっています。都会近郊のゴルフ場は、その利便性と需要の高さから、どうしてもプレー料金が高騰しがちです。
僕が衝撃を受けたのは、田舎のゴルフ場の圧倒的なコストパフォーマンスでした。
かつてバブル時代には会員権が数千万円したような名門コースが、今では信じられない価格でプレイを開放しています。平日なら、美味しいランチがついて5,000円〜7,000円で回れることも珍しくありません。これは、都会の河川敷コースよりも安い場合さえあります。
プレー代が半分になれば、ゴルフに行ける回数は2倍になります。これは単純な計算ですが、ゴルフ上達における「絶対的な真理」です。ラウンド経験こそが、最高のレッスンなのですから。
ここでも、具体的な数字で比較してみましょう。月1ゴルファーだった僕が、もし同じ予算を田舎で使っていたら、どれだけの経験値が稼げたでしょうか。
| 項目 | 都会でのゴルフ(月1回) | 田舎でのゴルフ(同予算) |
|---|---|---|
| プレー代(土日) | 約15,000円〜20,000円 | 約7,000円〜12,000円 |
| 高速・ガソリン代 | 約8,000円 | 約500円 |
| 合計費用(1回) | 約23,000円〜28,000円 | 約7,500円〜12,500円 |
| 月間ゴルフ予算(仮) | 30,000円 | 30,000円 |
| 月間ラウンド可能回数 | 1回 | 2〜4回 |
浮いたお金は、新しいクラブの購入資金に充てるもよし、プロのレッスンを受けるもよし。僕の場合は、妻と美味しいものを食べに行く回数が増えました。ゴルフへの投資が、結果的に家族関係への投資にも繋がったのは、嬉しい誤算でした。
3. 「予約争奪戦」からの解放:思い立ったが吉日ゴルフ
「よし、来週末ゴルフに行こう!」都会では、この気軽な一言が通用しません。人気のコースともなれば、土日の予約は数ヶ月先まで埋まっているのが当たり前。キャンセル待ちを祈るか、法外な値段の直前枠に手を出すしかありません。
しかし、田舎ではゴルフはもっと身近な存在です。ゴルフ場の数に対してプレイヤーの人口密度が低いため、予約の自由度が格段に高いのです。
「明日の午後、天気が良さそうだからハーフだけ行こうか」
伊豆では、そんな気まぐれが許されます。平日なら前日の電話で、コースによっては当日の朝でも予約が取れてしまう。この「思い立った時にゴルフができる」という環境は、精神的な余裕をもたらしてくれます。
ゴルフの予定に自分の生活を合わせるのではなく、自分の生活スタイルの中に、ゴルフを自由に組み込める。この主導権の逆転こそが、田舎暮らしゴルファーの特権なのです。
スコアだけじゃない。田舎ゴルフがもたらす「人生の彩り」

田舎暮らしでのゴルフは、18ホールを回って終わり、ではありません。むしろ、本当の楽しみはクラブハウスを出た後から始まると言っても過言ではないのです。そこには、都会のゴルフでは決して味わえない、五感を満たす豊かな体験が待っています。
プレイ後のご褒美は、獲れたての海の幸
ゴルフの後、仲間と立ち寄るファミレスやチェーンの居酒屋。それはそれで楽しい時間ですが、どうせなら、その土地でしか味わえない格別の食事を楽しみたいと思いませんか?
僕が住む伊豆は、駿河湾と相模湾に抱かれた、まさに海鮮の宝庫です。 ゴルフをスループレーで午前中に切り上げ、その足で漁港近くの食堂へ向かうのが、僕の定番コース。
朝、水揚げされたばかりの金目鯛の煮付けや、透き通るようなアオリイカの刺身。 プレイの興奮を肴に、地元の味に舌鼓を打つ時間は、何物にも代えがたい幸福感に満たされています。ゴルフ場のレストランも地産地消にこだわっている場所が多いですが、少し足を延してみるだけで、世界はさらに広がります。
ゴルフとグルメは、最高のペアリングです。その土地の旬を味わうことで、ラウンドの記憶はより一層、鮮やかで豊かなものになります。
スループレーを選べばプレー代も安くなり、浮いたお金で豪華なランチが楽しめる。これもまた、賢い田舎ゴルファーの知恵なのです。
源泉かけ流しの温泉が、最高のクールダウン
田舎のゴルフ場、特に伊豆のような観光地では、クラブハウスに天然温泉が併設されていることが珍しくありません。 想像してみてください。18ホールを戦い抜いた火照った身体を、源泉かけ流しの湯に沈める瞬間を…。
筋肉の疲労を和らげるだけでなく、心まで解きほぐしていくような、あの感覚。湯船から眺める夕暮れの山々の稜線は、どんな高級スパにも勝る絶景です。
僕のお気に入りの一つは、伊豆市にある湯ヶ島ゴルフ倶楽部。 ここはプレイ後に本格的な温泉宿の気分を味わえる、まさに楽園のような場所です。都会のゴルフ場にあるシャワー施設とは、満足度が全く違います。
ゴルフでかいた汗を温泉で流し、心身ともにリフレッシュして家路につく。この「ゴルフ+温泉」という黄金の組み合わせは、一度体験すると病みつきになります。 これもまた、田舎暮らしならではの贅沢と言えるでしょう。
スコアで繋がる、温かい人の輪
都会のゴルフは、良くも悪くも人間関係がドライです。予約サイトで集まった初対面の人と回り、プレーが終われば挨拶もそこそこに解散。それはそれで気楽ですが、どこか寂しさを感じることもありました。
一方、田舎のゴルフ場は地域コミュニティの重要な社交場としての役割も担っています。 月例コンペや地域のイベントが頻繁に開催され、自然と顔なじみが増えていきます。
僕が住んでいる伊豆の別荘地でも独自のコンペがあり、参加してみると、地元の農家さんや漁師さん、リタイアされたご夫婦など、普段の生活では出会えないような多様な人々と知り合うことができました。
「ヤリョさん、こないだの〇番ホール、あそこは右手前のバンカーを避けて、花道から攻めるのが定石だよ」
そんな実践的なアドバイスをもらえたり、おすすめの定食屋を教えてもらったり。ゴルフという共通言語を通じて、移住者である僕を温かく迎え入れてくれる人の輪が、そこにはありました。スコアや飛距離だけではない、人と人との繋がり。それこそが、僕のゴルフライフを、そして人生そのものを豊かにしてくれていると感じます。
移住してから後悔しないために。僕が直面した3つのリアルな壁

ここまで、田舎暮らしでのゴルフの素晴らしい側面ばかりをお話ししてきました。しかし、物事には必ず光と影があります。理想だけを追い求めて移住し、「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、僕が実際に直面した厳しい現実についても、正直にお伝えしておこうと思います。
現実1:車がなければ、生きていけない。「足」の問題
都会では当たり前の「公共交通機関でゴルフ場へ」という選択肢は、田舎ではほぼ皆無です。最寄り駅からクラブバスが出ているコースもありますが、本数が極端に少なかったり、そもそも最寄り駅までが遠かったり。
田舎暮らしにおいて、車は単なる移動手段ではなく、命綱です。
ゴルフ場へのアクセスも同様で、「本当にこの道で合ってる…?」と不安になるような、細く曲がりくねった山道を通ることも日常茶飯事。僕も一度、カーナビの案内を信じて進んだ先が崖崩れで行き止まりになっていて、スタート時間に遅刻しそうになった苦い経験があります。ゴルフ場の入り口ゲートからクラブハウスまで、延々と5キロ近く走るような場所も珍しくありません。
ゴルフバッグを複数積むことを考えると、ある程度の大きさの車は必須。そして、冬場の凍結や降雪の可能性を考えれば、スタッドレスタイヤや四輪駆動の備えも必要になる地域もあります。車の維持費は、田舎暮らしの固定費として、あらかじめ計算に入れておくべき重要なポイントです。
現実2:自然の気まぐれに、人間は無力。「天候」の問題
美しい自然に囲まれてプレーできるのが田舎ゴルフの魅力ですが、その自然は時として牙を剥きます。特に「山の天気は変わりやすい」という言葉は、嫌というほど実感させられました。
朝は雲ひとつない快晴だったのに、昼過ぎから急に黒い雲が湧き出し、雷と共にバケツをひっくり返したような豪雨に見舞われる。濃い霧が発生し、数メートル先も見えずにプレーが中断される。夏場はアブやブヨといった虫の猛攻に悩まされ、冬は海から吹き付ける強風でボールが押し戻される…。
自然を相手にするスポーツである以上、天候の変化はつきものです。しかし、田舎、特に山間部のコースでは、その変化の度合いが都会の比ではありません。レインウェアや防寒具、虫除けスプレーといった備えはもちろん、時には「諦める勇気」も必要になります。
天気予報を過信せず、常に最悪のケースを想定して準備を怠らないこと。それが、田舎の自然と上手く付き合っていくための鉄則です。
現実3:見えないルールと、濃密な関係。「コミュニティ」の問題
人の輪が温かい、と先ほど述べましたが、その裏返しとして、都会とは比較にならないほど人間関係が密接である、という側面も理解しておく必要があります。
地元のコンペに参加すれば、良くも悪くも「移住してきたヤリョさん」としてすぐに顔と名前を覚えられます。そこには、都会の匿名性とは違う、良くも悪くも「見られている」という感覚が常につきまといます。
地域によっては、ゴルフ場のメンバーシップが地元の名士の集まりのようになっており、新参者が溶け込むのに時間がかかるケースもあるかもしれません。挨拶やマナー、服装といった基本的なことはもちろん、そのコミュニティ特有の「暗黙の了解」のようなものを、肌で感じ取り、尊重する姿勢が求められます。
移住は、その土地の文化に自分を寄せていくプロセスです。「郷に入っては郷に従え」という言葉を忘れ、都会の感覚のまま振る舞ってしまうと、気づかぬうちに孤立してしまう危険性もはらんでいるのです。
【まとめ】ゴルフが、僕の働き方と生き方を変えてくれた
横浜の窮屈なマンションで、次の週末のゴルフのことだけを考えていた、かつての僕。渋滞の高速道路でハンドルを握りながら、「何のためにこんな思いをしてまでゴルフに行くんだろう」と虚しさを感じていた、かつての僕。
そんな僕が、今、伊豆の豊かな自然の中で、好きな時にクラブを握り、心からゴルフを楽しんでいます。それは、単に住む場所を変えたから、という単純な話ではありません。
ゴルフという「一点」を突き詰めた結果、僕の働き方、人との繋がり、そして人生そのものに対する価値観が、根底から変わったのです。
朝、鳥の声で目覚め、窓の外の緑を眺めながらコーヒーを一杯。渋滞知らずの道を軽快に走り、最高のコンディションに整えられたコースで仲間と笑い合う。午後は温泉で汗を流し、地元の港で揚がったばかりの魚で乾杯する。夜は静かな家でデザインの仕事に集中する。
そんな毎日が、僕の現実です。もちろん、田舎暮らしには不便なこともあります。しかし、それを補って余りあるほどの幸福感が、ここにはあります。
もし、あなたがゴルフを心から愛し、今のゴルフライフに何かしらの息苦しさを感じているのなら。思い切って、そのハンドルを、都心へ向かう高速道路から、自然豊かな田舎へと切ってみませんか?
そこには、あなたがまだ知らない、最高にエキサイティングなセカンドステージが、広がっているはずです。
ゴルフ好きの田舎暮らし FAQ
A. これは物件(賃貸か購入か、新築か中古か)やエリアによって大きく異なります。僕の場合は中古の戸建てを購入し、リフォーム費用なども含めて都心のマンションを売却した資金でまかないました。賃貸であれば敷金・礼金・家賃3ヶ月分ほど、購入であれば物件価格の10%程度の諸費用を見ておくと安心です。引っ越し費用や車の購入費も忘れずに。
A. 僕はもともとフリーのWebデザイナーだったので、仕事場所を選ばないのが大きな強みでした。移住を機に、リモートで完結するクライアントさんとの関係をより強化しました。コツは、密なコミュニケーションと徹底した自己管理です。チャットやWeb会議を駆使して物理的な距離を感じさせないこと、そしてゴルフの予定を入れつつも、仕事の納期は絶対に守ること。この2つを徹底すれば、信頼を失うことはありません。最近では「ワーケーション」プランを用意するゴルフ場も増えているようです。
A. 僕の住む伊豆は比較的温暖なため、雪でクローズすることは稀で、一年中ゴルフが楽しめます。ただし、朝晩はグリーンが凍結することもあり、防寒対策は必須です。移住先として人気の那須や軽井沢などの高原エリアでは、冬期はクローズするゴルフ場が多いです。その地域の気候を事前にリサーチすることが重要です。
A. これが最も重要な課題かもしれません。 僕の場合は「自分の趣味のため」だけでなく、「家族全体のライフスタイルがどう豊かになるか」を具体的にプレゼンしました。例えば、「新鮮な食材で食事が美味しくなる」「自然の中で子供を育てられる」「都会のストレスから解放されて、夫婦の時間が増える」といったゴルフ以外のメリットを丁寧に説明しました。いきなり移住を切り出すのではなく、まずは週末や長期休暇に「お試し移住」を体験してもらい、田舎暮らしの魅力を肌で感じてもらうのが効果的だと思います。
◆筆者紹介◆
都会のサラリーマン生活に疑問を感じ、一念発起して伊豆に移住しました。
今はのんびり田舎暮らししながら、1日4時間ほどの在宅ワークで、ゴルフと家族との時間を満喫しています。
僕の脱サラ移住の全記録はこちらの本にまとめました↓




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