※この話は『資本主義の木陰でスローライフ』に収録されています。
淘汰の話
競争社会の最大の特徴にして最大の利点。それは、淘汰だ。
ダーウィンの進化論のように劣ったものが淘汰されることで、最後には優れたものだけが残る仕組み。
商品だろうが、サービスだろうが、人間だろうが、否応なくふるいにかけられ、粗悪なものから排除される。必然的に、残ったものは粒ぞろいとなる。
ちょっと残酷だけど、よく出来た仕組み。
だけど、この仕組みがよく出来ているのはレースの序盤だけだ。
劣ったものが排除され、優れたものが残り続ければ、優れたものとは何か?という形が定まってくる。すると優れたものは量産され、すぐに飽和状態となってしまう。
飽和状態になった優れたものは、またしてもふるいにかけられる。
さらに優れたものが残るかと思いきや、今度はそうでもない。
なぜだろう。
おそらく、ふるいにかけているのは目利きじゃなく、「一般大衆」だからだ。
一般大衆は、明らかに粗悪なものは判断できても、高度な判断基準を持ち合わせているという訳じゃない。
だから、最後は好き嫌いで決めるか、無理やりアラを探すしかないのだ。
すると残るものは、おのずと決まってくる。
誰にも嫌われず、誰にも文句が付けられないもの。
悪くはないが、飛びぬけて良くもないもの。
そんなものばかりが、世の中に溢れかえることになる。
つまらない曲に、つまらない本。
つまらない服に、つまらない車。
そして、つまらないテレビ番組。
だから、僕はテレビを見るのをやめた。
つまらないテレビ番組ばかりになってしまったが、番組制作者たちを批判するのは可哀そうだ。彼らだって、もっといいものを作りたいと苦々しく想っているのかもしれない。
だけど、資本主義というルールの中で戦う限り仕方がないことだ。
良いものを作ることより、儲けることが正義なのだから。 競争社会の最大の特徴にして最大の欠点。それは、淘汰だ。
ヤリョによる解説
資本主義には「いいところ」と「悪いところ」がある。
最近のテレビは、まさに資本主義の悪いところが出てしまっているような気がする。
我が家は、もうずいぶんと前からテレビを見なくなった。
ニュースでさえも、視聴率を狙ったようなものばかりだ。
つまらない。
なんとかしてほしい。
そんな想いから、この話を書いた。
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