【現役司法書士が解説】負の遺産にしない!知っておきたい不動産の遺産相続(動画解説あり)

節約術
以前の動画

まずは、以前こちらの動画にいただいたコメントを一部抜粋します

「別荘はなかなか売れず手放す事ができないケースが多いようなのですが、もしある日何らかの病気で突然死してしまった場合、子や、子がいなければ甥や姪に負の遺産として相続する事になるらしいのですが事前にそれを回避できるようにしておく方法は無いものでしょうか? なるべく労力やお金がかからない方法で」

といった内容でした

なかなか専門的な話でしたので、行政書士の方に取材させていただきました

今回ご協力いただいたのは、浜松市に事務所をかまえる、行政書士の宇佐美ようこ先生です

むずかしい話ですので、できれば動画でご覧ください

内容はテキストと同じですが、動画では図を使って分かりやすく解説しています

今回の動画

※目次をクリックすると、「読みたいところ」へジャンプできます

別荘はなかなか売れないのか?

空き家自体は増えているのが現状だそうです

日本、特に田舎のほうでは「家庭を持ったら、一軒家を建てて初めて一人前!」みたいな文化や風潮が少なからずありますよね

ただ、最近は新築で家を建てるよりも、中古物件を買おうと考える人が増えてきているそうです

高い金額で家を建てて、一生かけてローンを払う

下手すると定年後までローンが残っているかもしれない

ローンを完済した頃には人生も終盤に差し掛かっていて、しかも自分の子どもたちがずっとその家で暮らすかどうかも分かりません

こういった理由もあって、キャッシュフロー的に見直されつつあるのが現状のようです

ちなみに海外だとこれが圧倒的に逆で、新築とか新品に対するこだわりが日本人は特に強いという事でした

結論ですが、「別荘はなかなか売れない」とは言い切れなさそうです

たとえばですが、アクセスの良さとか、築年数、なにか人を引きつける魅力があるかとか、売りたくなった時点での情勢やブームなんかも影響してくるので、何とも言えないところではあります

場所や家屋の状態などによっては、どれだけ価格を下げても売れない場合もあります

不動産会社の方いわく、ある程度リノベーションをしてから売り出すのがおすすめだそうです

そんな余裕ないよって方でも、せめてお掃除くらいはしておかないと、売れるものも売れないかもしれないですね

まぁ実際に私たちはこの家を買いましたし、それから半年以内に近所に移住してきたご夫婦もいます

他にも別荘地の物件を買った方、買おうとしている方も知っているので、別荘住宅が売れた!っていうのはそんなにすごくめずらしいことでもないのかなって印象です

ちなみに、別荘住宅・一般住宅にかかわらず、沿岸部の物件っていうのは、災害が懸念されるためなかなか売れない傾向にあるそうです

別荘を手放すには?

まずは売却という方法です

当然ですが買い手がつくまで所有権は名義人である家主にあるので、たとえば固定資産税とか維持費っていうのは「売りに出したからと言ってなくなるわけではありません」

その家にすでに住んでいないとしても、所有者に責任や負担があります

物件を売るには不動産会社に仲介を頼む事が多いと思いますが、ひとつの不動産会社だけにお願いする「専属契約」だと、その物件に対して競争相手もいない事になるので高い金額で売れるかもしれないというメリットがあるそうです

一方で、いくつかの不動産屋会社にお願いする場合には、そのぶん買い手の目にふれることも増えるので早く売れやすいというメリットがあります

ただ、金額的には安くなる傾向があるようです

高く売りたいのか、早く売りたいのかなどで最善策が変わってきます

1年以上売れない物件もざらにあるそうなので、そうと決めたら行動は早いほうが良さそうですね

売れた場合には、売り主側に「不動産譲渡所得税」「住民税」、買い手側には「不動産所得税」がかかります(※詳しくは専門の機関にお問い合わせを)

そして、売却以外の方法だと、「譲渡」っていうのができます

「この家あげるよ」ってことですね

これは家族でなくても、他人に対しても出来ます

その場合は、物件を受け取った側・もらった側には「贈与税」っていうのがかかります

売却した場合でも譲渡した場合でも、固定資産税とか消費税とか、いろんな費用がかかってきます

これについて詳しくは税理士に相談するのがよいとの事でした

家の所有者が亡くなった場合、権利や義務は誰が負うのか

ココからが本題です

これは、そのままスムーズにいくと基本的には「法定相続人」に権利が移行します

法定相続人っていうのは、優先度順に第一順位から第三順位まで大きく3つに分かれています

まず第一順位

例として、夫婦と子供2人の4人家族で、その家の所有者である夫が亡くなったとします

この場合、第一順位になるのは:妻と子、です

子供が何人いても全員が相続人になります

たとえば妻は他界していて、名義人である夫が亡くなった場合は子だけが相続人になります

つぎに、第二順位

「亡くなった所有者、今回の例でいうと夫の両親が両方、もしくはどちらかが一方でも健在で、かつ夫婦に子がいない」

この場合は、両親と妻が相続人になります

所有者の父親が亡くなっている場合なら、所有者の母親と妻が相続人になります

そして第三順位

所有者の両親が他界している、所有者本人に兄弟がいる、夫婦間に子はいない

この場合は、所有者の兄弟と、妻が相続人になります

もし所有者の兄弟も全員が亡くなっている場合には、その子供、つまり所有者の甥や姪に権利が移行していきます

ちなみに、所有者に兄弟もいないし両親も他界していて、夫婦間に子もいない場合。これは妻だけが法定相続人となります

そして、完全なお一人様。身寄りが誰一人いない。この場合には特別縁故者が相続人になることがあります

特別縁故者っていうのは、たとえば内縁の妻、名義人が命を終えるまで長い間一緒にいた人物などが認められることもあるんだそうです

そういうのも含めて、それでも誰も身寄りがいない場合には、その土地や物件は国に引き渡される、つまり帰属されることになります

財産分与の方法やその割合

名義人が亡くなったあとは、前章でお話したような流れで決められた人物たちの共有財産となります

不動産は共有名義となるわけですね

相続人が1人だけなら、まぁ誰と揉めるわけでもないんでしょうけど、複数人いるとなると揉め事も結構いろいろあるようです

まず、財産分与に関して一番効力が強いのが「遺言書」です

ただ、手書きで書かれた紙切れだとあんまり意味はなくて、しっかりと効力を持たせるためには「公的証書遺言」というのを作成しておくべきだそうです

これって財産がたくさんあるおうちの人だけでしょ?って思われる方もいるかと思いますが、実は財産があるなしに関わらず、むしろ財産があんまりない場合ほど、自分が他界した後に子供や孫、親族を揉めさせないためにも作成しておくのがオススメなんだそうです

ちなみに手書きの遺言書の場合には、家庭裁判所での検認(けんにん)っていう手続きが必要になります

正しいものかどうか確認されて、認められれば効力のある遺言書になるようです

遺言書の作成は個人でも出来ないことはないんですが、なにか不備があったりして効力を失ってしまったりしないためにも、プロに頼むのが良いと思います

これはあくまで目安ですが、公的証書遺言の作成には

  • 弁護士に頼むと15~20万前後
  • 司法書士だと10~15万前後
  • 行政書士だと8~10万前後

ほどかかってくるようです

なるべくお金をかけずに自分で作成したいって方は、まずは自分で文書を作成して、それから公証役場に電話をして下さい

言い方としては、「遺言の内容が作成できたので、公正証書にするための予約をしたいです」みたいなかんじ

内容を一緒に考えてくれたりするものではないので、まずは自身で遺言の内容を作るところからです

高齢になったら遺言書を用意するのではなく、もしものときに備えて若いうちからでも作成しておくのが理想ですね

以上が、財産分与に関して一番効力の強い「公的証書遺言」についてでした

で、二番目に効力が強いのが「遺産分割協議」です

これは、相続人全員が納得していれば、自分たちで決めて分け合うことが出来るというものです

みんなで相談して分け合おうねっていう、平和な解決ですね

そして三番目、たとえば遺言書もないし、相続人同士でなかなか折り合いがつかないなどのケースです

この場合は「法定相続分の割合」っていうのが法律上それぞれ決まっているんだそうで、それにもとづいて財産が分けられる、ということになるそうです

自分が法定相続人になったら

法定相続人として定められた場合、「相続登記」というのをしなければなりません

名義人が変わりましたよという移転手続きのようなものです

これは法務局に出向いて自分で書類などを用意して手続きする事も出来ますし、司法書士などに丸投げすることも可能です

2024年からは、この「相続登記」をしていないと罰せられる決まりになります

親族から受け継いだ不動産を放置してしまっている方は要注意です

ちなみに行政書士や司法書士は、基本的には「不動産を共有財産にするのはすすめない、誰か一人に決めることをすすめる」そうです

ですが、その不動産に価値があったりすると、私が私がって取り合いになる事が多い

中には、その物件の資産価値に応じてお金で解決する代償弁財(だいしょうべんざい)という方法もあるんだそうですが、だいたいこれが払えなくて更に揉めるとの事でした

一方で、その不動産に価値がない場合には押し付け合いになることもあります

もらいたい人が現れた場合には簡単に解決することでもあるので、売却や譲渡ができれば「めでたしめでたし」だそうですが、そう簡単に事は運ばなそうですね

相続したくない場合

相続放棄などの手続きをしない限りは、そのまま相続人として話が進みます

なので先程お話した、相続登記の手続をすることになります

相続したくない場合の対処法としては、相続放棄もしくは限定承認(法定相続人、全員でやる必要がある)という二つの方法があります

まずひとつめの「相続放棄」これは、土地も不動産も財産もすべて何もかも放棄するという事です

手続きをする前に財産の一部を売却していたり、壊しちゃったりた場合、相続放棄ができなくなるケースもあるので、まるっと手を付けないまま相続放棄の手続きをするのが理想です

仮に借金ばかりだった場合はそういうのも放棄することになります

負債を引き継がなくて良くなるので、負の遺産ならば手放したほうが楽かもしれません

この手続きを弁護士に頼むとだいたい5万円~10万円くらいでやってもらえるようです

自分で手続きをする場合にはネット上で書類のダウンロードもできるし、家庭裁判所で書類をもらうことも出来ます

ふたつめの「限定承認」これは、資産の範囲内だけを相続しますというものです

財産も借金もすべてきれいに整理して、残った資産だけを分け合う

これは相続人全員で申請する必要があります

つまり、相続人みんなが仲良くないとなかなか実行できない方法とも言えます

相続放棄と限定承認、どちらもまずは家庭裁判所へ相談してください

親族に負の遺産で迷惑をかけないために、今しておけること

かなり色々なお話しをしましたので、もうすでに「こうしておこうかな」とか考えている方もいるかもしれません

自分が他界したあとに親族に負担をかけないためにも、今のうちから行政書士に相談に行くことをオススメします

弁護士、司法書士などいろんな人物が登場するのでややこしいかもしれませんが、今回宇佐美さんにお話しを聞いて、「行政書士ってつまりは暮らしのアドバイザーみたいなものだな」って、私は感じました

たとえば弁護士に相談したい場合は「30分5,000円程度の相談料」というのがかかる事が多いですよね

つまりは、なにもしてもらわなくても相談するだけで費用がかかります

行政書士は相談料を取らないケースが多いそうなので、こういう点でも気軽に相談に行きやすいです

なにか手続きなどをしてもらった場合に、それに応じて費用がかかるという事です

で行政書士って結局なにをしてくれるかって言うと、「これは弁護士案件ですよ~」「これは司法書士に相談するべき案件ですよ~」とか「今あなたはこうする必要がありますよ~」とか、そういったことを教えてくれるサポート窓口のような存在でもあるんです

なにかあったらまずは駆け込める場所ですね

行政書士の探し方としては、各県の行政書士会で検索して電話したり、マップで行政書士って検索すると最寄りの事務所が出てきます

なるべく近くで気の合う人を見つけると良いと思います

浜松市に事務所をかまえる宇佐美さんへご相談されたい場合には私からの取り次ぎも可能ですので、お気軽にご連絡下さい(お問い合わせはコチラ

行政書士に依頼すると、解決するべき問題をそれぞれの項目に合わせて整理してくれるので「そもそも誰が相続人なのか?相続財産いくらあるの?なにが相続財産になるのか?」なども教えてもらえます

所有者(夫)が生きているうちに確認に行くことをおすすめします

情報が古かったりすると、所有者がそもそも自分たちが認識している人物じゃなかったりもするんだそうです

驚くことに、所有していると思っていた土地が借りてる土地だったりしたケースもあるんだそうです!

親世代のときには口約束で丸く収まっていた契約でも、子や孫世代になるともめたりするので、情報が古かったり定かではない場合にはなおさら確認してもらったほうが良さそうです

老後に中古一軒家を購入する注意点

たとえば現金一括で買うなら負債という面では問題ないんですが、ローンを組んだ場合には収入や捻出できる金額、寿命も考えないといけません

もしローンが残ったまま他界してしまった場合、不動産は没収されて、負債だけが残るケースもあります

これは親族にとって『負の遺産』ということになるので、よく考えて計画を立てたほうが良さそうです

財産分与の章でもお話しましたが、自分が他界した後に遺産を分け与えたい人がいる場合はあらかじめ公的証書遺言を作成し、そこにしっかりと記載して下さい

お一人暮らし、身よりも特に無い方は死後委任事務契約というものを視野に入れてみて下さい

これは自分が他界した後に、所有物の処分法やお葬式についてなどを特定の人物に委任できるというもので、誰でも、どんな状況でも今すぐできるものです

「自分」と「自分の死後に管理を託したい人物」との間で締結します

なので、当然ですが託す人物の承諾が要りますし、きちんと契約書を結ぶ必要もあります

親族でなくても結べる契約なので、身寄りのない方でも自分の他界したあとの事についていろいろと任せておくことができるんですね

これも、遺言と同じで、公証役場で公正証書にすることが出来ます

公正証書にしておいたほうが効力もあって、あとあとのトラブルを減らせます

内容は、たとえば不動産の家財道具をこうやって処分する、お葬式はこの業者でこんなふうに執り行う、車はどうする、とかっていう取り決めなどをしておけるようなものです

番外編

最後に番外編として、ちょっとした質問を4つご紹介します

飼い猫を外で飼育したら罰せられるのか

→ケガをさせたら別問題ですが、外での飼育自体は法律違反ではない

家を購入した後にキャンセルは出来るのか

→手付金放棄でキャンセル可能なことが多く、名義人になったら不可能

ご近所付き合いでトラブルになったらどこに相談すればいいか

→行政書士に相談の上、必要なら弁護士に取り次いでもらう、もしくは弁護士に直接相談に行ってもOK

身寄りが誰もいない方が亡くなった場合、葬儀や家の後処理は誰がやるのか

→遺体の処理、家の片付けなどすべて市区町村がしてくれ、遺骨は集団墓地へ入ります

以上が番外編のちょっとしたQ&Aでした

【おわりに】

今回は難しいお話をたくさん教わってそれをまとめたので、うまく説明できてない部分が多々あるかもしれません

知らない事ばかりだったので、宇佐美先生のお話しを非常に興味深く聞かせていただいて、何度も聞き返してメモして、ここまでたどり着きました

オンラインでお時間をとっていただいたんですけど、その後も何度も質問や確認で連絡してしまいました

「なんでも聞いてください~!」「何回でも連絡下さい~!」みたいな感じで、ほんとに何度でも快くお返事をいただきました

宇佐美先生、このたびは本当にありがとうございました!

ちなみに宇佐美先生は、相続分野と国際分野に力を入れています

そのほか、なにか困り事や相談事いつでもどうぞ!との事でした

浜松近辺にお住まいの方はもちろんですが、遠方の方でもぜひ宇佐美先生に相談してみて下さい

宇佐美先生の事務所ホームページはコチラ
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